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「 瓜食む記-子供との日々 」

 

奈良の南の 入り口で夫婦子一人の生活をしています。ぼくが自由業のため子どもと過ごす機会の多い日々です。
「瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ いづくより 来りしものそ まなかひに もとなかかりて 安眠しなさぬ」
は山上憶良が子どもを思って詠んだ有名な歌ですが、毎日が瓜食むような日常を綴っていきたいと思います。






「 七五三顛末記 」

 世の中では、どうやら七五三は重要な行事のようです。
ようです、というのは、わが家はあまり、行事らしい行事をしないからです。
神道でないので初詣にも行かないし、キリスト教徒ではないのでクリスマスも関係なし。子供が生まれた後のお宮参りも行かずにすませてしまいました。


季節の行事は、それなりにやっているつもりです。
七夕には笹を飾ったり、秋にはお月見。節句の祝いもしています。
おせちもぼち ぼち準備をはじめました。
正月飾りも自作したいと思っていますがいまから間に合うでしょうか。

特別な行事をないがしろにするつもりはないのですが、そこまで手が回らない、というのが現状でした。


七五三もどうしようかなあと思っていましたが、部屋の片づけも済み、
子供も少し手がかからなくなったので、行くことにするかと、ぼちぼち用意をはじめました。


世の中では、七五三の準備に余念がないようです。
一年近く前から前撮りしたり、オーダーメイドで服を(靴も!)仕立てたり、
坂本龍馬好きの知人は子供の参りに合わせて自分も龍馬になりたいと髪を伸ばしてパーマをあてている強者もいました。


ぼくも少しはなにかしようかなあと、
hitofushiさんで 七五三の髪飾りを作るというワークショップに少し興味がありましたが、おっさんひとり混ざるのもな……と実現しませんでした。


実は、子供の着る物だけ、先に用意ができていました。
妻の家から、妻の母が子供の頃(!)着ていたという着物と、妻のいとこや妻本人、あちこちから集まってきた帯、下駄、鞄、髪飾り、小物一式。毎度ですが、奈良の田舎は何でも取ってあるので感心します。
妻の家では、いまでも妻が子供の頃使っていた食事椅子が出てきますし、妻の知人は、自分の母親のおむつを子供に使ったといいます。


奈良の南に住んでいると、七五三でよく行くのは橿原神宮です。
近いし、電車も通っているし、なにかと便利です。

まわりでも、橿原神宮にお参りしたという声をよく聞きました。ですが、便利だから参りというのもなあと思ったので、七五三は春日大社にお参りしようと妻と二人で話していました。せっかく奈良にいることだし、そんな心づもりだったのですが。


11月のとあるよく晴れた休みの日。
妻が外出するというので、二人であたふた朝の支度をしていると。
クローゼットにつり下がった七五三の着物を見た子供がひとこと、

「今日、お宮参りに行く! 行きたい行きたい行きたい!」

妻とぼくはギョッと凍りつきました。



着物の存在は前から知っていたはずなのに、なぜ急にそう思ったのか分かりません。 たぶん、子供なりに、着物を持って来たおばあちゃんが、

「これ を着て、お父さんとお母さんと七五三のお参りに行っておいで」

と言っていたので、近いうちにお参りに行くものだとインプットされていたのでしょう。


  「どうする?」

「行こうと思ったら行けなくもないけど……」

「仕事は?」

「したいけど、絶対じゃないから」

妻とぼくで、陰でヒソヒソ。




行きたいとなったら行きたいのが子供の常です。
引きずられて七五三に連行される他の子供もよく見ていたので、子供が行きたいと言ってるのだから、逆にチャンスかもしれないと、この際流されることにしました。
そこからはもうバタバタでした。
子供なので、着物の着付けもなんとかなります。髪は飾りでごまかして、下駄や鞄や一式で、それ らしくなりました。

「どこに行く?」

「じゃあ大神神社」

行き先も、春日大社からあっさり近場に変更。


着物を着て、鈴の鳴る下駄を履いた子供は終始上機嫌。大神神社の拝殿まで、あっという間に到着しました。
しかし、ろくに準備をしていないほころびはあちこちに。
ぼくはジーンズに古いコートのみすぼらしい格好だし、取るものとりあえず持って来たはずのカメラにはSDカードが入っていない、財布の中身は寂しいし、おまけに携帯の電池も切れる……。祈祷はせず、参拝だけで帰るつもりだったので、本当に手ぶらでした。


しかし今日は11月のうららかな日。拝殿には当然たくさんの七五三参りの子供の姿がありました。そしてその手に は千歳飴と大きな風船……。
このままで終わるわけがないなという厭な予感はあっという間に当たりました。

「ひーちゃんも、風船欲しい! 風船欲しい!」

……そりゃあ欲しいよな、と妻とぼくはがっくり。
あれは中で祈祷をあげないともらえないからとなだめても、子供が聞き分けるはずもなく、格好も、お金も、カメラも、たくさんの不備がありましたが、もうここまで来たんだから、とあきらめることにしました。

(ぼくはジーンズでしたが、妻だけは「こんなこともあるかと思って」ちゃっかりそれなりの格好をしていました。) そして、破れかぶれでなんとか祈祷を終えると、わが子は念願の風船を手に入れたのでした。


ろくな格好もせず、写真の 一枚もありませんが、いま思うとある意味でぼくたちらしい七五三の祝いができたのかなあと思います(思うことにしています)。

そして、子供の七五三の写真はまだ撮りに行っていません。



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◇今回で瓜食む記は最終回でございます。
本当は12月の中旬に原稿をいただいていたので、もっと早く更新したい想いだったのですが、訳あって手をつけることが出来ず年を越してしまいました。
ごめんなさい。

ひーちゃんはどんなお正月を迎えたのでしょうね。


子供と過ごす一年の内容の濃さを、瓜食む記を通して覗き見させていただいた気がします。


素敵な一年をありがとう。ひーちゃん。

 

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