内野樟脳/天然樟脳
ハッカに似たさわやかな匂いの樟の木。この大木が蓄えている精油成分が天然の「樟脳」です。人にとっては清々しいこの薫りを虫が忌避するようで、昔から防虫剤として活用されてきました。古い着物の重くなかなか消えない匂いを「樟脳の匂い」と勘違いされることが多いのですが、あの香りの正体は高価な天然樟脳の代用品として作られた別の防虫剤。天然の樟脳とは違うのです。
日本で樟脳が生産されるようになったのは室町時代とも元禄年間とも言われています。とにかく江戸時代の末期には薩摩藩と土佐藩とで盛んに作られるようになり、ヨーロッパ、中国、インドなどへ輸出。樟脳で外貨を獲得したことで藩は武器を購入することが出来、その結果倒幕を達成して明治維新にいたったという・・・歴史を動かすほど、日本にとって重要な商品でした。
その後、藩の専売から国の専売品となったがゆえに、合成樟脳や石油製品の登場で需要が激減したのちに生産者は売り先を失い廃業。内野樟脳だけがその技を守ってゆくことになりました。現在、内野樟脳は五代目。江戸時代と変わらぬ「土佐式蒸留法」を改良した方法で樟脳を作り続けています。
クスの木のチップが1.5〜2tも入る大きな蒸し器で丸一日蒸します。蒸したらチップを入れ替える…これを三日繰り返します。こうして蒸し器から上がる蒸気を集め、井戸水で冷やした冷却槽に溜まるのが樟脳オイルとシャーベット状の樟脳の結晶なのです。6000kgのチップから作ることが出来る樟脳の結晶はわずか25kg高価な「香りの宝石」です。
天然樟脳は、4gずつ和紙に包まれております。
包装のまま、タンスや掛け軸や本棚の防虫にしたり、靴箱やトイレの消臭にお使いください。
※現状、定期的な入荷が難しい状態ですので、同じ成分と香りで定期入荷いたします樟脳オイルもご活用くださいね。
- 材料:樟(九州産)
- 内容量:樟脳1包み4g×12個入り
- 揮発性なので開封後は外装パウチをしっかりとしめて保存して下さい。